ぺそぎんのメモ帳

備忘録として作ってみました

「隷属なき道」読了後の感想

みなさんはベーシックインカム(BI)という言葉をご存知でしょうか。BIがどういうものか簡単に書くと全国民に毎月一定額を支給するというものです。この刺激的な政策は色々な場面で資本主義の限界が見えつつある現在、解決策として注目され始めています。この本は未来の解についての教科書のようなものです。以下内容と感想をまとめていきます。

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

 

 ・全体の構成

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ざっくり書くと1章では豊かになりつつも不幸になるという現代の矛盾、2章はBIのメリットをデータと合わせて紹介、3~6,8,9章は様々な観点から見た経済史やデータの説明、710,11章はあるべき世界についての理念や熱意といった感じです。BI自体について知りたい、あるいは半信半疑だという人は2~9章辺りを読むと理解が深まると思います。ある程度知ってる人は1,2,711章あたりを読むと共感できる場面が多いと思います。

 

・内容紹介(引用)

今回は色々疑ってみるためのきっかけとして1章と8章を引用していきます。

まずは1章から

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"中世の人々からすると現代の西ヨーロッパはコケイン(豊穣の地)そのものだ。ファーストフードはいつでも食べられるし、気象のコントロールさえ可能で、自由に誰とでも恋愛できる。働かなくても収入が得られ、美容整形で若さが保てる。" 

現代の社会はそんなに良くないと思ってる人の方が多いかもしれないが、歴史的に見ればかなり豊かな時代と言えるはずです。それでもなお幸福感を感じづらいのはやはり現代の経済の主軸になってる資本主義というシステムの限界が来てるではないかというのが僕の意見です。では資本主義の限界とは例えばどんなものでしょうか。

 

8章からの引用

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まだまだ機械よりも人間が働いてる場面が多いとはいえ、それがこの先もずっと続く保証がないことは歴史を見れば明らかです。では機械の比率が高くなっていき全体の仕事量が半分になった時に現状の制度ではそれはどういう事を意味するのでしょうか。自己責任で片づけて良いものなのでしょうか。

 

・感想

 冒頭で書いた通りBIについての教科書とも言える本です。既にBIについての知識がある人にはもちろん、BIを初めて知りましたという人にも読みやすいと思いました。また最終章の中で語られる制度改革までの歴史と共に語られる理想的な未来を描き続ける熱意にはグッとくるものがありました。現行の経済制度に矛盾を感じている、あるいはこれからの世界が向かっている方向に違和感がある、など様々な事に疑問を感じている人にこそ読んでほしい一冊です。