ぺそぎんのメモ帳

備忘録として作ってみました

メモ:安楽死は優しさ?

     

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突然ですがみなさんは安楽死の法制化に賛成ですか。それとも反対ですか。

これを読んでいる方がどちらの立場なのかをリアルタイムで知ることはできないので

ググった結果、日本人の約7割が安楽死制度に賛成しているらしいと分かりました。

よってこの記事を読んでいる人は安楽死賛成派が多いと仮定します。

もちろん安楽死賛成派の方が多いという状況で安楽死に賛成する理由を書いても釈迦に説法となってしまうので、安楽死反対派の理由に対する反論という形式でつらつらと書いていきます。

 

①宗教上の教義に反する、命の尊さをなんちゃら

なんかそれっぽいやつです。

テロリズム以外で自殺あるいは安楽死を肯定的に捉えているメジャーな宗教は思いつきませんでした。その他道徳の授業とかで出てきそうな内容です。

もうちょっと文章を捻りだそうと思いましたが無理でした。

 

①への反論

結論としては安楽死の条件に本人または親族、あるいはその両方への意思確認を必須にするだけで丸く収まります。

なぜなら①はあくまで個人の死生観の好みの一つに過ぎず、安楽死したい人が安楽死出来る方が全体の幸福の総量が最大になり、またその状態が理想的な社会だと考えるのが妥当だからです。

(いわゆる最大多数の最大幸福という考え方です。ググれば出てきます。)

 

もう少し分かりやすくするために安楽死導入によって最大多数の最大幸福が達成される様子を数値化して説明していきます。

 

まず前提条件として安楽死に対する賛成反対の比率は冒頭で紹介した安楽死賛成が70%、反対30%という割合を準用します。加えて今回は計算しやすいように母集団を100人とし、1人につき0から1までの満足度を持っていると設定しておきます。

また現在のように安楽死が法制化されてない場合、賛成派は満足度0、反対派は満足度1を得たとします。

この場合全体の満足度の合計は0x70+1x30=30となります。(パターンa)

 

今度は逆に安楽死が法制化された世界を考えてみましょう。

計算を単純化するため同様に母集団100人、個人の満足度を0から1とし、賛成派は満足度1、反対派は満足度0を得たとします。

この場合全体の満足度の合計は1x70+0x30=70となります。(パターンb)

 

満足度の合計はb>aであることから安楽死を法制化するべきと言えます。

ものすごく単純化した計算ですが、安楽死を法制化した方が全体的に幸福になりそうだという感覚が伝わったと思います。まあ回りくどい説明をせずとも、嫌なら制度を利用しなければ良い、だけで十分だったかもしれません。

 

②本人の自由意思が正しく反映されない

安楽死反対の立場の方が主軸に据えるポイントがこれだと思います。

具体例としては病気や障害を抱えたAさんが介助してくれている親族であるBさんから冷ややかな目で見られると同時に早く死ぬことを期待され(いわゆる介護疲れ)、そうした状況にいたたまれなくなった結果、空気を読んで安楽死を選択してしまうというものです。

この場合、仮に本人が安楽死を希望した場合であってもその希望は本人の意思を正しく反映していない(自由意思に基づくものではない)と捉えることもできます。もしこの事例が本人の意図に反した安楽死の実施だと判断される場合、嫌なら安楽死しなければ良いだけだという賛成派の理屈の正当性がいくぶん揺らいでしまいます。

 

②への反論

この事例に対する結論としては個人が将来にわたる満足度(効用)を想定した結果、安楽死を選択する方が満足度が高かっただけとなります。

何故そう言えるのか。少々要素が増えますが、

①への反論同様にこのケースについても数値化してみましょう。

 

まずは条件ごとの満足度を定義していきます。

安楽死が未実装であることを想定し、自殺する瞬間の満足度を-500、Aさんが1年間生きた場合の満足度を-10、Bさんが1年間介助し続けた場合の満足度を-10、Aさんの寿命があと10年だったと仮定します。

この条件では、Aさんがすぐに自殺した場合の満足度は-500、10年生きて寿命を全うした場合{(-10)+(-10)}x10=-200の満足度となります。

わざわざ満足度が低い選択肢を選ぶはずがないのでAさんは不満を抱えつつも生き続け、AさんとBさんで合計-200の満足度を得るという結果になるはずです。

 

次に安楽死が法制化された場合を考えてみましょう。

計算しやすくするために安楽死をする瞬間の満足度を-50、その他の条件を同一としておきます。

この条件では、Aさんがすぐに自殺した場合の満足度は-50、10年生きて寿命を全うした場合{(-10)+(-10)}x10=-200の満足度となります。

わざわざ満足度が低い選択肢を選ぶはずがないのでAさんは安楽死を選んで合計-50の満足度を得るという結果になるはずです。

 

ここまでの説明を踏まえて改めて考えてみてください。

安楽死を選んだAさんの自由意思は阻害されていますか?

Bさんの満足度-10は安楽死が法制化された状況のみで発生するものでしょうか?

むしろAさん本人が主体的に選べたからこそ実現した安楽死と解釈できるはずです。

 

③あとがき

では最後にもう一つ質問です。

②の具体例のように本来-200の満足度を得ることになってしまう状況に対して-50の満足度で抑えるという可能性を用意する行為をみなさんはどう表現しますか。

僕はそれを優しさと表現するしかないかなと思いました。