「ペンギン・ハイウェイ」読了後の感想
数日前に「ペンギン・ハイウェイ」を読み終わりました。
- 作者: 森見登美彦,くまおり純
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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・ あらすじ
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした──。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。
一言でまとめると小学生の時は何でもない事がすべて輝いて見えてたなあと懐かしさで感傷に浸りたくなってしまうそんな一冊でした。以下重大なネタバレを避けつつ感想が続きます。
・見どころ
ジャンル的にはSFですがまるで小学生時代の日記を読んでるような感じで物語は進んでいきます。客観的に描写しちゃうと脈絡のない事柄も、小学生の視点でだとこんなにダイナミックなのかとある種の驚きがあります。もちろん日常だけでなくペンギンが突然出現するという大事件も同様に描写されており、ペンギンの様子やペンギンが出現したことによる周りの反応なども簡単に映像が浮かんでくるような臨場感を持って描かれています。またそのペンギンの出現に関連するお姉さんの謎の解明と関係の進展も同様に描かれており、非常に学者チックな主人公がどのように"研究"をまとめていくかも魅力の一つです。
・感想
本当に小学生時代の日記を見返して懐かしさに浸っているような感覚でした。また、夏が終わった後の独特な寂しさや切なさが余韻として残る、とも言える感じでした。何でも無いことに一喜一憂し、全てが輝いて見える世界。しばらく忘れていた感覚を思い出しました。特に切なさを際立たせるのが序盤と終盤で語られる少年の決意です。前者と後者ではあまりにも意味合いが違いすぎるし、文中で語られる”泣かないことにしている”という台詞と相まって最高でした。泣きたいときは泣いて良いんだぞと思わずにはいられませんでした。エッセイ系を読む人はもちろん、普段あまり本を読まない人にも読みやすい一冊だと思います。8月に映画化も決まったとのことで、気になった方はぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。