ぺそぎんのメモ帳

備忘録として作ってみました

「ラプラスの魔女」読了後の感想

 

ラプラスの魔女 (角川文庫)

ラプラスの魔女 (角川文庫)

 

※ 今後読むかもしれない人のために重要なネタバレは避けています。

ゲームも好きですが読書も大好きです。電車内や昼休みの時間を利用してちまちま読み進め、先ほど読み終わりました。

・あらすじ(引用)

ある地方の温泉地で硫化水素中毒による死亡事故が発生した。地球化学の研究者・青江が警察の依頼で事故現場に赴くと若い女の姿があった。彼女はひとりの青年の行方を追っているようだった。2か月後、遠く離れた別の温泉地でも同じような中毒事故が起こる。ふたりの被害者に共通点はあるのか。調査のため青江が現地を訪れると、またも例の彼女がそこにいた。困惑する青江の前で、彼女は次々と不思議な“力”を発揮し始める。

以下はテーマと感想になります。

・ 本書のテーマ

ラプラスの悪魔 - Wikipedia

 タイトルと非常に似ているこの言葉がまさしくこの本のテーマです。もし世界に存在する原子の位置や運動量を正しく処理できる知性を持つ存在がいると仮定した場合、その主体は未来を知ることができる、これがラプラスの悪魔という概念です。もちろんコンピューターや統計を駆使した天気予報も予測率は100%ではありませんし。また地震に関しても緊急地震速報と言う形で予知は出来るものの、事前に避難ができるほど前から予測するのは不可能なのが現状です。しかし本書ではこのラプラスの悪魔が実在した場合にどのような事が起こり得るかを丁寧に落とし込み、物語が進んでいきます。

・感想

本書も推理小説の体は取っていますが、王道の推理小説のような読了後の爽快感や良い意味での後味の悪さといったものは比較的薄いと思われます。僕自身の読了後の感想としてはとても悩ましい、そんな感じでした。もし自分がラプラスの悪魔のような能力を持てる場合それが果たして幸せにつながるのかどうか。自分が出した未来の予想が合ってるか確かめたい反面、未来が確定されたら希望を抱くことすら難しくなるのではないか。そうした考えが堂々巡りになりました。小説のテンポの良さを楽しみつつもじっくり思索にふけりたい、そんな方にはオススメできる作品だと思います。